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2015年2月22日日曜日

月の裏側 恩田陸

恩田陸が女性であることを読後のAmazonレビュウで初めて知る。女性であればこそ、主人公の多聞のような男性を描くことに若干の納得を覚える。
前作の短編の主人公でもあったが、受け身でどこにも男性から見ると魅力的ではないキャラクターに、村上春樹の無色なキャラとの共通点を感じた。それも女性が描くのであれば一種の理想像としての男性像なのだと理解する。
してみれば、ホラーという題材を用いてはいた、結局は藍子の二度目の失恋物語、すなわち『盗まれた』物語と言えないこともない。
ストーリー的にはアイデアは面白いものの細部の詰めは圧倒的に弱く、納得感を感じたい向きには不向きな作品か。
文体も平易で深みはないので若者受けする作品かではあろう。
暇つぶしには良い、もうリピートとはないな。