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2001年12月11日火曜日

山下洋輔がクラシックに乱入?

12月7日(金)の朝日新聞を読んでいたら、『山下洋輔が室内楽に「乱入」新春コンサートで新作披露』という記事が目にとまった。

山下洋輔といえばフリージャズの元祖、最近ではNHK大河ドラマ「北条時宗」の最後で、番組ゆかりの地を訪ねるコーナーのBGMを担当していた。過激でない彼の音楽をしばし楽しんだ方も多いだろう。

しかし山下洋輔の本来の姿といえば、ジャズの中でもかなり過激だ。クラシックしか知らない人が見たら仰天するのでは?という印象かもしれない。実際、生で聴いた演奏は凄かった。肘打ちはあるし、シッチャカメッチャカな感じでピアノが壊れるのではと思ったものだ。

もっとも、肘打ちは何もジャズ特有のものではない。ポリーニの弾くシュトックハウゼンなどを聴くと(見ると)分かるが、肘打ちどころか不協和音の塊りにおいて、山下の奏でるジャズ同様にスリリングで衝撃と緊張に充ちている。

先週続けてジャズ・クラブに行く機会があった。ひとつはジャズピアノのソロの店、もうひとつはトリオ演奏の聴ける老舗である。老舗の専属ピアニストが言う、「クラシックやっている人はピアノの粒が揃っていて、やっぱり違うね」と。

それを聞いて思い出した。ジャズ畑の人がクラシックに対して、ある種の引け目やコンプレックスを感じているのではないかということをだ。キース・ジャレットはバッハの平均律などを録音しているし、かの天才トランペッタ、ウィントン・マルサリスもクラシック系の超絶技巧物を録音している。ある種のチャレンジなのだろうか、それとも自分としての表現を求めての行為なのだろうか。購入して聴いていないので私にはコメントできないが、クラシック界の評判はそれほど高いものではなかったと思う。

新聞記事によると山下は、「若いころって、ジャズやっていると、とてもじゃないけど、クラシックには入っていけないんです。でも、ある年齢になると、自分の力がどこまでクラシックに通用するか、本当のところが知りたくなる」(記事引用)と語っている。山下洋輔にしてか、と驚いたというのが正直な感想だ。

今の私には、クラシックとジャズの両方をフォローするほどの時間も金銭的な余裕もない。しかし、山下の試みはどこか気にかかかるのであった。


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