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2003年3月11日火曜日

楽劇「ラインの黄金」全4場 その4

■ 第1場 ラインの乙女たち

ラインの三人の乙女とは、ヴォークリンデ、ヴェルグンデ、フロースヒルデである。彼女たちはラインの河底に沈む黄金を守る役割を負っている。三人の中でフロースヒルデだけがメゾ・ソプラノである。ヴォークリンデとヴェルグンデが戯れるさまを嗜めたりしていることから、彼女が一番年配格なのだろう。

ワーグナーの天地創造とも言える前奏曲に引き続き、ヴォークリンデの「Weia ! Waga ! Woge, du Welle ! Walle sur Wiege ! Sagalaweia ! Wallala weiala weia !」という歌声が波の動機にのって歌われる。愛らしい歌声が印象的で、音楽は混沌の中から生ある存在を表現しているようだ。この部分は非常に浮き立つような音楽になっている。特に上下するアルペジオによる波の動機と上昇音形が絡み合った音楽的な華やかさと高揚感は見事だと思う。

ラインの乙女たちは視覚的にもキャラクター的にも魅力に満ちていなくてはならない。ラインの乙女たちがアルベリヒをからかい、彼にひどい仕打ちをすることでアルベリヒは復讐をこめてラインの黄金を盗むことになる。ここから全ての物語が始まるという意味において、非常に重要な場面であるからだ。それゆえに後にも紹介するが、ラインの乙女たちは画家や演出家によって様々にイメージされているようだ(中には娼婦に見立てた演出まであると聞く)。右はエミール・デプラーによるスケッチだが、この絵では愛らしいというより少し逞しいと見えなくもない。

この後にアルベルヒが登場するのだが、彼がラインの乙女たちを見ていて心乱されたのも分からないでもないと思う。ではアルベリヒに次ぎはご登場願おう。

(2003.3.11)

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