2003年8月19日火曜日

某室内楽ホールの音響改善後の演奏会

東京都内の某室内楽専用ホールで音響改善工事が行われたとかで、改善後のお披露目兼音響測定会の機会を得たので行ってきた。

音響設計者にも会ったので今回の改修の経緯を伺ってみた。ホールは出来てから10年近く経っているのだが、ホールが出来て直ぐにピアノ演奏用に向くようにデッドなホールに改装してしまったたらしい。そのため弦関係の演奏家からは苦情が多かったとのこと。このたびホールの所有者が室内楽専用ホールに改めたいとの意向を示し音響改善を行った(というか改装前の原設計に戻した)とのこと。目指したのは、ホールの音響性能の指標のひとつである残響時間で示すならば、約1.2秒程度にすること。測定の結果、空席時および客が入った状態でほぼ想定の残響時間が得られたらしい(ホールの性能は残響時間だけで測られるものではないのだが)。

さて、そういうホールでの演奏は、アマチュアの弦楽四重奏によるモーツアルトのティベルティメントと、N響コンサートマスターの篠崎史紀氏によるヴァイオリン演奏会であった。弦四はアマチュアながら、ハイレベルな演奏。篠崎さんのソロに至っては言うことは何もない。アンコール三曲を含め、ヴァイオリンを堪能させていただいた。

音を聴いた感想としては、個人的には木質系の柔和な響きを特色とするホールになっているように思えた。一方で伴奏のピアノの音がモコモコと聴こえ、もう少し響いても良いのではないかと思ったものである。今回の改修は残響時間を長くする方向のものであったと後で聞き、何と私の耳は主観的で当てにならないかと思った次第。ホールの良し悪しなど聴き分ける高度な耳など持ち合わせていないようだ。