仕事が溜まっているので日曜出勤でもしようかと思っていたのだが今日も天気が良い。昨日も好天でだったのに、意に反し15時から22時まで会社で悶々としてしまったので、さすがに今日も出勤するのがアホくさくなる。本とiPodを鞄にぶち込んで目的もなくJRに乗り込み、以前から気になっていた方面を散策することとした。(注)以下は本人以外はほとんど意味のない文章。
まずはJR日暮里駅で降りて
谷中霊園に向かう。谷中は観光スポットとしても有名になってきたので休日の霊園だというのに線香も持たずカメラを携えた人が多い。桜並木をぽくぽく歩いて気分を良くするが、開花にはまだまだ。霊園だけあってカラスが多くウルサイ。石原都知事に抹殺対象とされたかの鳥達は、こういう場所をネグラとしていたのか。
霊園内には
徳川慶喜の墓があるというので行ってみたが、塀の外から伺い見ることしかできない。もっと堂々としたものかと期待したのだが意外と簡素。その後
寛永寺まで足を伸ばす。街頭の地図を見て初めて気付いたのだが、寛永寺は上野の東京国立博物館のすぐ裏に当たる。航空写真で上野方面を眺めると(寛永時の境内にある)JR線が大きな河の流れのようだ。上野と合わせて考えると徳川幕府の都市計画の一環が透けて見える。ここらあたりは「上野の山」といわれるだけあり、寛永寺越に御徒町方面を眺めると遠くのビルの屋上が同じ視線に見えている。
寛永時の前を過ぎ
国立博物館を裏手から正門に廻る。今月末から「最澄と天台の国宝展」と「国宝・天寿国繍帳と聖徳太子像展」が企画されている。おおっ!と思ったものの、これまた会期中は激混みなのだろうなと観る前から気分が萎えてくる。博物館の敷地内を伺い見ると梅が咲いていた。
東京芸術大学旧奏楽堂の前を通り
藝大美術館へ。何かやっていたら観ようと思ったが、入試シーズン中なので閉館中。ちょっと残念に思いになりながらも、まあいいやと言問通を
根津の方へ歩き始める。ここら当たりから道はグッと下がっている。坂の途中には墓地と寺というのは中沢新一氏の「アースダイバー」的風景。
谷中や根津の周りは、いかにも「下町」的。若者達がもの珍しげにウロチョロしている(私もその一人、ただし若者ではない)。現代のガラスと金属やコンクリートの建物を見慣れた目には、単に古いだけの木造下見板の家など、それだけで珍しいのだろう。街を歩いているとどこか懐かしい気分になることは否定できない。一体、日本は何を造って何を壊してきたのか、などということは考えない。
下町情緒をちょっとだけ感じながら、なるほどなるほどと訳の分からないことを思う。不忍通りを越えると、道はまた登りに転じる。その転じた先にあるのが
東京大学。
考えてみたら東大って行ったことがなかったなと思い弥生門からキャンバス内へ入る。垂直線を強調したデザインの建物が権威と上昇志向を象徴しているよう、ただし施設は恐ろしく古い。某学部に勤める旧友から聞きいていはたが、ここまでとは。建物に歴史的価値があるようなので壊すに壊せないジレンマを抱えているのだろう。
安田講堂は初めてホンモノを目にしたが驚くほど小さいことに拍子抜け。放水銃と火炎瓶の記憶はどこを探しても見当たらない(当たり前)。キャンバス内は休日のせいかカップルや観光客や犬連れの家族などがチラホラする程度で人影もまばら、平和である。
三四郎池もせっかくなので見てみる。ここの水はどこから沸いてくるのだろう、上野の不忍池とともに繋がっているのだろうかと、東京の地下を脈々と流れ、行き場を求めてさまよう暗い水の流れに思いを馳せる。窪地になったこの場所は東京とは思えないような空間を形成していてとても素敵だ。
赤門を潜り抜け、ついで(何のついでだ?)なので本郷通りを通って
御茶ノ水にまで出てみる。神田川を越えた途端に若者がウジャウジャ沸いてる。神田川は相変わらず汚いが、紅梅が川沿いに咲いていた。御茶ノ水駅を降りた景色というのは、東京の私学の方々にはおなじみだろうが、私からするとグロテスク以外の何ものでもない。そのグロテスクさを更に際立たせるように、秋葉原方面に更に巨大な建造物が聳えている、イヤハヤ。こういうグロテスクさも、キライではないのだが・・・度を越しているな。
いささかゲンナリしながら御茶ノ水駅前の喧騒を避けニコライ堂向かう。教会はこれからまさに夕刻の祈祷の時間、燭台に蝋燭を灯し始めている。ドームのステンドグラスが西日を投下して天井にきれいな光を投げかけている。キリスト教の精神にはちょっとついていけないので、祈祷が始まる前に退散。そういう割りに、このときiPodで聴いていたのは、やはりバッハだったりする。
かなり疲れてきたが頑張って神保町の古本街へ。日曜日はこの街は半分くらい眠ったみたい、ほとんどの古本店のシャッターが下りいる。平日来なくてはダメなのだな。ただ神保町界隈には魅力的な喫茶店が多いことを発見。旨い珈琲でも飲みながら持ってきた本でも読もうと、ある店に足を踏み入れたら「あと15分で閉店です」と言われ断念。楽しみはまた後ということだろうか。