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2006年9月14日木曜日

モーツァルト:キラキラ星変奏曲/ファジル・サイ

  1. ピアノ・ソナタ第13番変ロ長調K.333
  2. キラキラ星変奏曲(「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲ハ長調K.265)
  3. ピアノ・ソナタ第10番ハ長調K.330
  4. ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331《トルコ行進曲》
  • ファジル・サイ(p)
  • 1997年9月、パリ
  • WPCS-11742

もう秋だというのに天気はグズグズとして東京は雨ばかり。仕事も忙しいばかりでさしたる成果もなく、また半年が無為に終わろうとしています。あ"~、フラストレーションがァ!と心の中で叫びながら、深夜の帰宅道をiPodに入れた中から何か聴こうとクリクリと曲を探す。

結局のところ、マーラーやブルックナーには食指が伸びず、モーツァルトのピアノ・ソナタを聴いてしまう。しかも、グルダやピリス、グールドやインマゼールなどの演奏ではなく、サイのキラキラ星変奏曲を。繰り返して。

実際のところ、サイのモーツァルトは良い。硬質な弾力が心地よく、また柔軟性とスピードも充分です。彼の最近のベートーベンにも驚きましたが、この盤にも多くの驚きが込められています。強烈なスパークに満ちた怒涛の演奏といえましょうか。聴いていて、心が弾む弾む。単純な主題から煌くような変奏の数々、しかしベートーベンのそれのように深刻や深淵には向かわない。逆説的に深い歓びも哀しみも内包しつつ、表層は無邪気な戯れだけがスパンコールのように覆う。モーツァルトの天才。それを弾ききるサイの能力の確かさ。

12の変奏の中ではハ短調の第8変奏の気だるいアンニュイ、第11変奏のアダージョが聴きどころでしょうか。モーツァルトのオペラ・アリアを聴いているようで果てしなく美しく愛しい。

夜空を見上げると空の星が少しだけ高くなっていた(>気がする。曇り空だし)。心も数センチだけ高くなる(>気がする)。

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