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2023年4月22日土曜日

アートビオトープ那須に泊まってみました

◾️水庭について

アートビオトープ那須は、建築家の石上純也氏が設計した「水庭」に隣接してあります。

水庭は318本のコナラの木々と小さな池が配置された人工の庭です。


コナラは近くの土地から移植したもので、そこは建築家らしく、木々や池の配置は、見たときに互いが重ならないようなシミュレーションをした上で、一本一本が配置されています。

コナラは本来であれば水辺を嫌う樹種です。それを水と隣接して配置するということのため、池の底には防水シートが施されています。

また池同志は、水流を確保するために互いに見えないところで暗渠で接続されています。

人の歩くところは苔や植栽を痛めないように飛び石が、これも程よく設置されています。

まさに建築家が設計した自然のようでありながらも、自然には絶対にない景観生み出しています。

自分も写真で見たときには、これは凄いと思い、やっと今回訪れることができました。

訪れて最初の印象は、確かに凄いやとは思ったのですが、良く見ますと、結構枯れている樹や、すでに切り倒されて切り株だけになった樹が散見されます。

できてから今年で4年目(2018年完成)のはずですが、樹も不自然に剪定されているようで、何か生き生きとした生命力を感じることができません。4月末という那須ではまだ春になったばかりという季節だからでしょうか、コナラも新緑にはまだ一歩足りない。そういう季節であったせいもあるのでしょうか。一本一本の樹たちに、おもわずに頑張れよと声をかけている自分がいます。

池の中にはお玉杓子が泳いでおり、近くからは蛙の鳴き声も聞こえます。

あまり植物に興味のない人は、この空間に感動し癒されるのかもしれませんが、どうにも私たちには、若き建築家が植物に対する知識や共感も薄いまま、自らの感性で造ってしまった空間というような印象を受けてしまいました。

ランドスケープはアートではないのではないか、こうして文章を認めていて改めて考えています。

◾️スイートヴィラに泊まる

スイートヴィラは建築家 坂茂の設計による、木をふんだんに使ったコテージです。

こちらは非常に素晴らしい施設でした。



◾️夕食

夕食メニューは、なんと素材名が書いた紙があるのみ。その日に仕入れた山や海の幸をもとに提供されます。

これは、どれを食べても素晴らしい。料理というものの奥深さを知ることができます。夜のレストランの雰囲気やメニューもどことなく男性的なイメージでそそられます。

給仕される方も「ひとくちでどうぞ」といいながらも「食べてしまうと一瞬なんですよね、でもお料理というのはそういうものですから」と笑顔をたやしません。

ペアリングのワインも素晴らしく、非常に得難い経験をさせていただきました。


「水庭」には少し違和感を感じはしたものの、全体的な満足度は高く、素晴らしい施設になっていると思いました。水庭も違った季節では印象も異なるかもしれません。しっかりと地に根付いたコナラも見てみたいものだと思います。


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