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2002年3月8日金曜日

食品業界の不正に関連して

食品の信頼性と安全性がこのところ音を立てて崩れ去ってしまった。雪印食品の牛肉ラベル改竄事件にはじまり、最近の全農チキンフーズの事件まで、あれよあれよと言う間に多くの不正が消費者である我々の目にさらされることとなった。

監督官庁である行政の責任も問われなくてはならないし、食品の信頼性を保証するシステム上の欠陥も問題にしなくてはならないだろう。食品においてもトレーサビリティの確保などが、今より厳密に求められてゆくものだろう。

しかし、システム欠陥が明らかにり、形として是正されたとしても、それを運用する企業と人のモラルが欠陥していては、絵に描いた餅以外の何物でもない。

今日本が直面している最大の問題は、モラルハザードということなのだ。ではなぜ「勤勉」という「幻想」のもとにまとまってきた「日本人」がかくも堕落してしまったのだろうか。その原因を突き詰めることは、日本の将来を占う上で最も重要な問題だと思う。何も、食品業界だけの問題ではないはずなのだ。

モラルハザードの背景としては、競争力の弱くなった国内産業という問題もあるだろう。高コスト体質から脱却できず、中国、韓国の追い上げなどに追われている姿もだぶる。はたまた、デフレの中での消費者の低価格志向や、消費の二極化という構造にも考えるべき点があるのかもしれない。

企業は不況化にあっても社員や株主のために収益を上げなくてはならない。去年と同じものを今年は更に数%売値を下げて販売しなくてはならない。しかし品質に対する要求は、逆に高くなる・・・・かつては、工業製品においては、そのことが技術開発と技術革新により「安く良いもの」という循環により日本の技術力や信頼性を高めた。おそらく、農業にしても同じような循環があったのではないかと推察する。今は、逆にこれが悪循環となっているのだろうか。モラルハザードの背景がこればかりではなかろうが、企業人として考える点は多い。

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