暑い暑いと思っていたのに、台風が去ったらまるっきり秋の空気に入れ替わっている。気付いてみれば暑い盛りから鳴いていた虫たちの声も一層夜空に染み渡っている。
表に書いたが、渡辺氏の「歌舞伎」はイロイロと示唆に富む。歌舞伎を語っているのだが、その裏には時代の美学がにじみ出る。
時代がにじみ出るといえば、やっと2章まで読んだ「日本の思想」(丸山眞男)が発刊されたのは1961年のこと。マルキシズムなどの解説はさすがに時代を感じるが、彼が根底に見据えていた日本思想論は今現在も全く色褪せていないどころか、彼を越える論客が今の日本に存在していない、あるいは存在することを時代が要求していない、という事実に気付いたとき、慄然とする思いである。
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