アメリカは、今回のテロの首謀者をビン・ラディンと特定し、アルカイーダ組織の撲滅を宣言した。実質的な戦線布告である。アルカイーダとそれをかくまうタリバン政権とは、もはや一切の交渉はないという一方的かつ強硬な姿勢だ。議会はほとんど満場一致でブッシュを支持、ABCの世論調査でも国民の90%が報復攻撃を支持しているという。私は、こんなに過激な演説は生まれてはじめて聞いた。こんなことを話す国家主導者が現在生きていることに恐れをなした。
タリバン政権は、「証拠を示せ」というが、アメリカはそれを拒否している。
昨日のテレビ朝日では、「アメリカが(協力各国に)証拠を提示していないのに、日本も協力すると言っていいのか」と久米宏が自民党 阿部氏に問うていた。それに対し「証拠を提示してくれなければ協力しない、というのは通る話ではない」と答えていた。もはや協力が前提だ。
「敵」は状況証拠からアルカイーダなどの国際テロ組織、米国を中心とする西側資本主義社会に攻撃をしかける彼らだ。それを武力を使い「根絶やしに撲滅」するのが目的だ。「Justice will be done!」という超極太のゴシック文字がアメリカの新聞に踊っている。
ちょっと待って欲しい。確かに5000人近い人たちが、それも民間人が、狂気のテロ行為により殺された。でも、そこまで憎しみを持つのはどうしてなんだ。彼らとの対話は、本当にもはやないのか、残されていないのか。テロ組織を撲滅して、新たなテロの芽を生むことにはならないのか。
テロ組織の作ったビデオが放映されていた。彼らは訓練している。肉体的にも、精神的にも。子供達にも「アメリカが悪である」と教育している。
今回は、そういう子供達も「根絶やし」にするつもりなのか? 最終的な勝利は何をもって宣言するのだ? そういうことが提示されない作戦に、やすやすと「協力」という言葉を口にする政治家は誰か、われわれはしっかり覚えておかなくてはならない。これを機に、集団的自衛権とか周辺事態法案などを有利に持っていこうとする人たちを覚えておかなくてはならない。
そして、「自国の主体性に基づいたテロ対策」や「アメリカ追従でない自国の平和的安全保障と国際外交戦略」というテーマで論じる人が誰なのか、見極めなくてはならない。おそらく、私たちの安全保障の将来がかかっている。
いま、日本は湾岸での恥さらしの汚名を挽回しようと、あせっていないだろうか。
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