2004年5月17日月曜日

展覧会:空海と高野山展

東京国立博物館で開催されていた「弘法大師入唐1200年記念 空海と高野山」展を観てきました。

さすがに展示内容は前評判に違わず、国宝と重要文化財のオンパレードでありまして、観ておいて良かったと思える内容でした。 

チケットの仏像はともに運慶作の八大童子立像のうち「制多伽童子」(右)と「恵光童子」(左)、そのほかにも四天王立像など運慶系の木像群は圧巻の一語に尽き、空間を制する圧倒的な存在感にはただ畏敬の念を覚えるのみ、心底凄まじき木彫芸術の極みでありました。 派手な木像のほかにも、両界曼荼羅や大日如来、不動明王像などの絵をはじめ、独鈷、三鈷、五鈷杵などの密教仏具、写経経典など、高野山の秘宝をこれでもかというくらいに展示してあり、密教美術に繋がる奥の深さと精神世界の広がりに圧倒される思いでした。

 


等身大以上の仏像以上に驚いたのが、「諸尊仏龕」(国宝:高野山三大秘宝)や「文殊菩薩及び使者像」などの精緻な木彫彫刻です。その高度な技術と造形美には、もはや感嘆という言葉さえ陳腐であり、信仰心などなくとも敬虔な気持ちになってしまいました。 地味ではありますが、多くの写経本が展示されていましたが、これらも興味深いものでした。

国宝である「細字金光明最勝王経」の、まるで印刷活字かと思われるような教典や、これまた国宝の「法華経 巻第六(色紙)」という、緑や紫などの色紙に金銀の揉箔を散りばめた平安時代の代表的な色紙経など、経典としての価値とともに芸術的美しさにおいて溜息が出るばかりです。真言密教の秘伝書とも言える「五部心観」(仏尊、印相、真言などを書き並べた図録)なども展示されており、密教美術がお好きな方にはたまらない内容であったと思います。 

かように、なにしろとにかく、どこを見ても国宝と重文ですから、いちいち解説していてはキリがありません。小雨交じりの天気にも関わらず、最終日というだけあり物凄い人出で、最初は経典や仏具など全く拝むことができませんでした。 中にはテレスコープを持ってきて細部を見入っている方や、仏像の前で印を組む人、経典を読み始める人など、通常の展覧会とは一味も違いまして、全て観るのに随分と時間がかかってしまいましたが、それでも行った甲斐はあったというものです。

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