2004年10月16日土曜日

リゲティ:ピアノ練習曲集 第1番&第2番

風邪で鼻水はとまらず喉も痛く頭が朦朧とするなか、今週は夜のお付き合いが何度もあったりで、すっかり体調はガタガタ。本日の会議もほとんど睡魔と闘うという情けなさです。

頭を少しはすっきりさせようとHMVで何気に手に取ったのがこの盤。『脳味噌がパニック!複雑リズムの極地!!』と記されているリゲティのピアノ練習曲集 第1番と第2番ですが、果たして聴いてみれば、まさに脳天を棍棒で撃ち下ろされたような衝撃。

嗚呼、私はリゲティも聴かずに今まで生きてきて、やれラウタヴァーラだのカプースチンを述べようとしていたのか。初めて聴いた偉大な作曲家を評せるはずもなく、ただただ悪魔的な鍵盤の技から生み出される強烈なリズムと複雑な音色に陶酔するのみ。

彼にしては「現代音楽的」ではなく、聴きやすいという評であるらしいものの私にはきわめて「現代的」響き。作品集の中で独立して演奏されることも多い「無秩序」「ファンファーレ」「ワルシャワの秋」「魔法使いの弟子」「悪魔の階段」あたりを繰り返し聴く。変化に富んだ音が様々に色彩を変えながら流れるのをぼおっと聴いていると、クラシックの曲を聴いているような気にならないワクワク感があります。「あ、やられた、ここでそう来たか」「うひゃア、なにそれ」とか、まるでビックリ箱です。

ピアニストはビレット(Idil Biret)というアンカラ生まれの女性。コルトーとケンプ(ケンプは彼女のメンター)の弟子であるとのこと。もはやピアニストに対し「女性にしては」などという形容詞を付けることの無意味さを感じます。他と比較したわけではないものの、力強さと独特の叙情性が伝わってくる演奏。驚きながらも今の季節、内省的な気持ちにもしてくれます。ただあまりに有名らしい「悪魔の階段」はイマひとつ衝撃的ではなかったのですが。

リゲティ
ピアノ練習曲集 第1巻&第2巻
  • (p)Idil Biret
  • 2001 NAXOS 8.555777

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