東京ミッドタウンにできた安藤忠雄設計による21_21 DESIGN SIGHT(→公式HP)に行ってきました。オープン特別企画は「安藤忠雄 2006年の現場 悪戦苦闘」(→公式HPより)という、まさにこのスペースを造るためのメイキングのような企画展。黒川紀章の国立新美術館でのオープン企画と異なり、ここに入るには1000円が必要です。
建物の殆どは地中に埋められており表参道ヒルズや直島地中美術館など最近の安藤作品のスタイルが踏襲されています。
展示内容は、主として本建物が現在の形に至るまでの数多くのエスキスやスタディ模型が時系列に並べられており*1)、ひとつのプロジェクトにかける無数のアイデアと労力を知ることができます。また東京で現在進行形の5つの新プロジェクトについても俯瞰できます。
伊藤豊雄の建築展でもそうでしたが、安藤氏も素材感とか現場の肌触りに拘ります。特に安藤氏は昔から職人と一体になって建築を造るという意識を強烈に打ち出しています。建築家のイメージなりディテールを具現化するには数多くの他者を介さないと実現できない。自らのアタマと手が一致していない。安藤氏は自分の世界観を他者に向って徹底的に語り、自ら描き、コミュニケーションによってそれを理解させ、恐るべきパワーでカタチにします。彼は啓蒙者であり教育家でもあり革新家でもあるわけです。
もっとも、そうして出来た空間に共感を覚えるか否かは個人的な問題になります。それでも彼の存在と活動には敬意を覚えます*2)。大きなガラス面からの光は、地下の中庭を通してホールや展示空間にまで柔らかく届きます。極めてストイックでシンプルなコンクリートの壁に、際立ったエッジ。若者は彼の研ぎ澄まされたデザインに共感を呼ぶのでしょうか、来館者にも若い人が多い。
ワンパターンと言ってしまえばそれまで、しかしやはり説得力はある。少なくとも彼の建築は今の時代には合っているのように思えます。安藤のモチーフを用いた空間が東京においても増えることは、否定すべきものではないと考えます*3)。
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- これで1000円かよ、事務所に積んでいたものを寄せ集めて企画展なんて、安易過ぎる!などと不満に思ってはいけない。作家のイメージの変遷に直接触れることができる点にこそ観るべきものがあるのだと・・・思おう。
- 好きか嫌いかと言われれば・・・、独逸ロマン派も良いけどたまにはクセナキスだって聴いてみたいだろう、みたいな。ん?ちょっと違うか(<-->クライアント側が、あまりにも無難に安藤氏や隈氏などの流行作家を選ぶことに疑問を感じないわけではない・・・。またかよみたいな、世界にはもっともっと前衛的な作家がいるのに、みたいな。-->