- ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調
- スメタナ:歌劇『売られた花嫁』序曲
- ヤナーチェク:シンフォニエッタ
- クラウス・テンシュテット(指)ロンドンpo.
- ロイヤル・フェスティヴァルホール(ステレオ・ライヴ)
- 1991年4月2日ロンドン
昨年、ベートーベン交響曲第9番のリリースで話題になったテンシュテットによる、オールスラブプログラムです。演奏は1991年4月1日ロイヤル・フェスティヴァルホールによるライブ録音です。
1991年4月2日のライブ録音はテンシュテットによるオールスラブプログラムです。テンシュテットのスラブものというのは珍しく、スメタナに限らず、ドヴォルザークの交響曲第8番でも、あまりスラブらしさを感じさせませんでしたが、それでもテンシュテットらしい演奏を満喫できる盤であるとは思います。
■スメタナ:「売られた花嫁」序曲
冒頭はスメタナの「売られた花嫁」序曲から始まります。のっけからオケを煽るかのごときスピードと躍動感に圧倒されます。メロディの裏の弦の刻みが凄まじく秘めたエネルギーを蓄えているかのような感じで、それだけに蓄積されたエネルギーの放逸は凄まじいものです。まさに爆発といってもいい響きを聴くことができます。低弦の刻みなど堂々としすぎていて、ドイツものを聴かされているような印象を受けないわけではありません。スラブ的とはどういうことか、と問われると答えに窮するのですがね。
■ドヴォルザーク:交響曲第8番
ドヴォルザークの交響曲第8番も、これはこれは素晴らしく堂々とした演奏でした。一瞬ベートーベンを聞いているのではないかという気にさせてくれる点でも稀有の演奏かもしれません。(特に第2楽章の後半を聴いていてそう感じました。)
それでもスラブ特有(?)の弾け方や体の内側から、固い殻を突き破って溢れ出るかのような生命力というものを感じないわけでは全くなく、むしろ演奏のダイナミズムと相まって劇的なまでに興奮が増幅された演奏になっているように思います。ここらあたりは、さすがにテンシュテットというところなのでしょうか。
エネルギーの放逸という点では、本当にもう脱帽するほどで第一楽章ときたら壮大なドラマさえ感じます。第2楽章などは、十分に歌を聴かせてもらいたいところですが、HMVのカスタマーズレビュにもあるように、ちょっとやりすぎという気がしないでもありません。この楽章にこんな劇的さを私は求めていませんよと(笑)。
誰が演奏しても「スラブ的」になるはずの第3楽章も振幅の大きさは凄まじいですね。実は、ドヴォルザークの8番というのは、高校時代に私は非常に好きだった曲で、久しぶりに聴きましたが、フレーズのひとつひつを口ずさんでしまうほどなのです。ここでも頭の中に刷り込まれた演奏(誰のでしょう?)を反芻しながらテンシュテットの演奏を聴くのですが、体の芯が痺れてしまうような演歌的な臭さはついぞ感じません。
この勢いで怒涛の終楽章に突入するのですが、ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラの金管群とティンパニの猛打が印象的ですね。ヤナーチェクでもそうですが、狂ったような木管の吹奏もかなりすごいです。この明朗なドヴォ8をここまで追い込むとは、テンシュテットっていったい何なんでしょうね。
■ヤナーチェク:シンフォニエッタ
私はクラシックファンのようなフリをしていながら、ヤナーチェクのような作曲家の曲を実は聴いたことがありませんでした。したがって、これまた凄い演奏であったとしか書けないところが情けないです。
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