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2007年4月14日土曜日

Vivaldi Operas

  1. La verita in cimento
  2. Juditha triumphans
  3. L'Olimiade
  4. Orlando finto pazzo
  • Academia Montis Regalis,Alessandoro De Marchi
  • Concerto Italiano,Rinaldo Alessandrini
  • Ensemble Matheus,Jean-Chistophe Spinosi
  • naive OP30401

naive社から出されているヴィヴァルディのオペラ集を聴いてみました。4つのオペラからのコンピレーションもので、演奏者も雑多です。こういうアルバムの印象は得てして茫洋としてしまうのですが、じっくりとアリアを聴きこみますと、ヴィヴァルディの才能の多彩さに目を見張る思いがしてきます。というか、イロイロな人が絶賛している通り、splendid!!です。

演奏は四つのペラを下記の三つの団体が演奏しています。

  • Juditha triumpahns「勝利のユディタ」」, Orlando finto pazzo「狂気を装うオルランド」/Academia Montis Regalis,Alessandoro De Marchi
  • L'Olimpiade/Concerto Italiano,Rinaldo Alessandrini
  • La verita in cimentoEnsemble「試練の中の真実」/Ensemble Matheus,Jean-Chistophe Spinosi
その四つのオペラからのアリアを総勢11人の歌手陣が唄っています。ライナー・ノートではその関係が分かりにくいので表にしてみました。[9]と[13]はオーケストラだけの曲です。

この中で一番驚かされたのは[12]番、《Orlando finto pazzo》からのアリア、Lo stridor, l'orroでしょうか。この不安過ぎるアリアは何度も聴いて癒されるという類のものではありません。しかし、この音楽の奇妙さ、異彩さ、凄さは聴いてみないと分からないかもしれません。ソプラノのいきなりハイキーにスパイラルアップする多少の狂気さえ感じられる歌は、実にゾッとするほどの和音を奏でる弦が伴奏しています。中間部はレチタティーヴォ的になってハープシコードやハープ(?)などに乗って唄われます。これがバロック時代のメロディなんでしょうか、バロック・オペラの範疇内なんでしょうか。だとしたら深過ぎます、バロック音楽という世界は。いや、それとも、ヴィヴァルディの独創性なんでしょうか。それを判断するほどに私はバロックやヴィヴァルディに無知すぎます。

《la verita in cimento》からの[14][15][16]そして[8]はSpinosiの演奏。彼の演奏方法については賛否があるようです。確かにかなり鋭角的で硬質な弦の響きは耳障りと感じる人もいるかもしれません。しかし私には非常に新鮮であり、しかもクリアさ、抜けた空気感、そしてバロック時代のザラつきのような息吹を感じ、それはそれで受容します。

その中で[14]はAnima mia, mio benは五重唄です。前半と後半のしっとりとした歌、中間部の急な部分の差が素晴らしい。[15]のMi vuoi tradir, lo soはアレグロのアリア。ヴィヴァルディの技巧が炸裂し、Spinosiの伴奏がこれでもかとばかりに迫ってきます。ヴィヴァルディが良く好んで用いるようなフレーズが散りばめれ、驚くほどの歯切れの良さで展開します。スピード感と強烈なアクセントが爆発するSpinosiの最たる演奏は[4]のAgita infido flatuでしょうか、もう息もできぬほどの演奏。あたかもイタリアの渓谷を流れる激流か。

Spinosiとて、ガリガリやるだけが能ではありません。[1]の天から降ってきたのではないかとさえ思えるカウンター・テナーの歌声による悲痛な歌、Tu m'offendiや、ソプラノのアリアである[8]Amato ben tu sei la mia speransaは張り裂けそうなばかりの思いをしっとりと聴かせてくれます。

ここにはSpinosiばかりでなく、Alessandriniの演奏も納められています。比べて聴くとSpinosiの演奏との違いが際立ちます。例えばコントラートによる[3]Gemo in un punto e fremo。スピード感がありながらも、どことない余裕と厚みがあります。刺激的な演奏ではあるものの、鋭角に過ぎない彼の演奏センスが光ります。ソプラノの[5]Lo seguitai feliceは官能的でいながら力強いソプラノが脳天を貫きます。[10]の二重唱も捨てがたい、珍しいバス独唱の[11]も聴きのがせません・・・。

[2]のVieni, me sequera fidaには、何とchalumeauという、クラリネットの先祖のような楽器(→Wikipedia)が使われています。[2]と[6]を唄うメゾ・ソプラノKozenaの声も極めて魅惑的、眩暈がしそうです。[7]Andeo,volero,grideroは《Orlando finto pazzo》から、バルトリのヴィヴァルディ集にも納められているアリア。iTunesにこれらの曲は入れてありますので、両者を比べて聴いたりしています。

という具合に、イチイチ書いていてはキリがありません。とりあえず、本アルバムを言及しているサイトをリンクして終わりとします。他にもあるんでしょうが、探せませんでした。

4 件のコメント:

  1. TBありがとうございます。
    あ~あ、ついに聴いてしまいましたか。もう引き返せませんよ(笑)。
    これ、本当にいいアルバムですよね。
    アリアを無作為に並べただけとも取れますが、ヴィヴァルディのギアチェンジの妙がよく実感できます。
    各アリアについて丁寧にコメントされてて(アリアの一覧表まで!)、私も今さらながら聴き返してみたくなりました。ヴィヴァルディっておっしゃるようにバロック的な情念から逸脱してるところがたくさんあって、そこはコンチェルトだけ聴いてたんでは、いつまでたってもめぐり会わない部分なんですよね。
    このオムニバス盤聴いてしまうと美味しいところは全部聴いたので、全曲盤は買わなくてもいいかとも思ってしまいそうですが、実はまだまだ素晴らしいアリアがたくさんあります。全曲盤まで手を出すとたしかに大変なことになりますが、スピノージが気になるようでしたら、やっぱり「グリゼルダ」をオススメします。アレはいいですよ~。

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  2. kimataさん、コメント有難うございます。いつもブログ楽しみに拝見しています。
    ヴィヴァルディの「ギアチェンジ」とはうまい表現で。全曲盤は申し少ししてからにしようと思っています、オペラを対訳で聴くのって、かなりヘビーですから(^^)

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  3. いま改めて聞いていますが、このCDは特に美味しいところを次から次へと繰り出して、今もTrack3や5の曲に感動しています。
    その難解なと思っていたTrack12の曲も、改めて指摘されて聞いてみると確かに凄いの一言なのか。
    出された料理は、ただ「うまいうまい」と言いつつ黙々と食べていていて、料理人の苦労とか工夫にまで思いが至りませんでした。
    これらのシャープな色遣いはヴィヴァルディ独自かなと思うけれど、もっと専門的な方からするとどうなのでしょう。

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  4. Hokurajinさんを始めとする方々のブログを頼りに、ここまで来ていますが、まだまだ深いっす、この世界。まだまだ離陸するどころか、入国審査以前の場所をウロウロしているような気分です。それにヴィヴァルディのオペラや声楽に関する日本の書籍って、ほとんど普通の書店では発見できませんしね。

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