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2021年8月22日日曜日

エマニュエル・パユのSOLO~無伴奏フルート曲集

エマニュエル・パユ/Emmanuel Pahud のフルートによるソロ、コンセプトアルバムです。テレマンの無伴奏フルートのための幻想曲全12曲の間に、様々なフルートの無伴奏曲が挿入されています。

テレマンの無伴奏はフルート曲としては定番で、多少耳タコ的な印象を受けますけど、こうしたコンセプトアルバムとして聴きなおしてみますと、聴きなれた曲も新鮮な印象を受けます。テレマンだけ取出して聴いてみても、なんと活き活きと吹いていることか!と驚きます。

挿入されている武満やオネゲルなど、これまたフルート系を親しむ人には定番と思えるような曲たちや、決して聴きやすくはない現代曲も、なかなか面白く、そして興味深く聴けます。

フルート無伴奏だけのアルバムだと、どうしても物足りなさを感じてしまいがちですが、このアルバムもパユという名手と曲の構成の工夫でCD2枚分を一気に、飽きることなく聴かせてくれます。武満の「エア」ではじまり、マレの「フォリア」で終わるのも、フルート好きには泣かせる構成でしょうか。イェルク・ヴィトマン(Jorg Widmann)とマティアス・ピンチャー(Matthias Pintscher)の作品は、パユが初演を受け持った曲とのことです。

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以下にパユの言葉を引用しておきます

"Most of the pieces are about exploring new paths," says Pahud. "The power of this music often lies in the contrast between a simple line and the most refined complexities, between a note so quiet as to be barely perceptible and the loudest, most extreme notes playable on the instrument."

以下にLIMELIGHT Music,Arts&Cultureというサイトで見つけた、少し辛めの批評も引用しておきます。

The modern pieces are spectacular – Pahud does a cracking Karg-Elert, he gives Takemitsu’s Voice a brutal horror and Pintscher’s Beyond (a system of passing) is fiercely rendered, the flautist ripping through flurries of notes and growling out the extended techniques – but the shifts in style grate. The “unpredictable listening experience” billed in the liner notes feels instead haphazard. The concept recalls Sharon Bezaly’s Solo Flute from A to Z series on BIS (which went quiet after the third release made it to D in 2005) and like Bezaly’s discs, SOLO is more satisfying to cherry pick from than as a complete program.

(ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681-1767):無伴奏フルートのための幻想曲は曲番と調性のみを表示)

  1. 武満徹(1930-1996):エア(1995)
  2. 第1番 イ長調
  3. ジークフリート・カルク=エーレルト(1877-1933):ソナタ・アパッショナータ 嬰ヘ短調 作品140
  4. 第2番 イ短調
  5. イェルク・ヴィトマン(b.1973):小組曲(2016) I.アルマンド/II.ラメント/III.サラバンド
  6. 第3番 ロ短調
  7. 武満徹:声(ヴォイス)(1971)
  8. 第4番 変ロ長調
  9. ロバート・ヘルプス(1928-2001):セカンド・ソーツ
  10. 第5番 ハ長調
  11. アルテュール・オネゲル(1892-1955):牡山羊の踊り H39
  12. 第6番 ニ短調
  13. マティアス・ピンチャー(b.1971):beyond (a system of passing)(2013)
  14. ピエール・オクターヴ・フェル―(1900-36):3つの小品 ~I.恋にとらわれた羊飼い
  15. 第7番 ニ長調
  16. フェル―:3つの小品 ~II.翡翠
  17. 第8番 ホ短調
  18. カール・ニールセン(1865-1931):子供たちは遊んでいる (劇音楽「母」より)
  19. 第9番 ホ長調
  20. フェル―:3つの小品 ~III.端陽(端午の節句)
  21. 第10番 嬰ヘ短調
  22. ルチアーノ・ベリオ(1925-2003):セクエンツァI
  23. 第11番 ト長調
  24. アルヴォ・ペルト(b.1935):エストレントラー
  25. 第12番 ト短調
  26. エドガー・ヴァレーズ(1883-1965):デンシティ21.5
  27. マラン・マレ(1656-1728):スペインのフォリア

(参考)

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