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2004年3月30日火曜日

「非戦」と「反戦」


「SIGHT」という雑誌、編集・発行人が渋谷陽一。「え?シブヤヨウイチ」と一瞬意外な思いにとらわれましたが、よく考えるとロック関連の音楽評論家が反戦をうたうというのは、いかにもという感じで納得してしまいした。

写真は坂本龍一氏と藤原帰一氏です。藤原氏は東京大学大学院法学政治学研究科教授で、最近『「正しい戦争」は本当にあるのか』を書いている方です(未読)。

おふたかたの発言については、ここでは触れませんが、私が共感を覚えたのは渋谷陽一氏のスタンスです。

特集のタイトルを「非戦」と「反戦」という、かなりストレートで、一歩間違えると、政治運動のスローガンともとられかねないものにしたのは、やはり今の政治状況に対する危機感からである。

ストレートな表現でよいです。渋谷氏は「政治的なスローガンでも、思想的なプロパガンダでもない」と続け、「冷静な状況認識と、それに基づく行動の指針となる批評軸の設定」であると書きます。

「反戦」や「非戦」がイデオロギーであるという時代は死に絶えたような気がしますので、氏のような一歩引いて自分たちに即して考えるというスタンスが今は良いのかもしれません。渋谷氏は次のようにも書いています。

「非戦」と「反戦」というメッセージには、きっと全世界で99パーセント以上の人が共感するだろう。[...] しかし、実際にこの文字を表紙に大きく書き、特集のテーマとして設定すると、書店では異質のものとして見え、かなり傾向のはっきりした雑誌として認識されてしまう。

そうなんだよ、と頷きながら何度もこの部分を繰り返して読みました。明らかに疑問、明らかに不明確、だけど誰も言わないというか言えない。「反戦」「非戦」が「異質」として見えるという風景こそ、異質であると思わないでしょうか。

いったいイラク侵攻は、日本とどういうかかわりがあるのでしょう。世界の不幸に目をつぶると言っているのではありません。中東の安定が日本への安定した石油供給に繋がるという理論でも良いのですが、日本とイラクの関係、日本と中東の関係をどう考えて派兵しているのか誰も明確に語っていません。アメリカの片棒を担ぐだけの派兵、解放と言う名の虐殺(大量に殺さなくても虐殺でしょう)。「非戦」は「異質」ですか。

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