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2002年1月30日水曜日

緒方貞子さんについて

田中外相の後任として国連難民高等弁務官を務め、いまニューヨークの民間機関で研究する緒方貞子氏に打診しているらしい。彼女についてはもはや説明の余地のないところであるが、彼女の発言をネットで検索していてはっとさせられたことがある。朝日新聞のニュース特集で、「世界が見殺しにした国、周辺国も含め安定策を」(2001.10.6)とする記事の中である。その発言の中でタリバンに言及した部分だ。

「石仏を壊したとき、あんなに急に国際社会が何とかしようと言い出すなら、生きている人間が悲惨な状況にあるときに、もう少し何かしてくれてもいいのにと思った。その点では私、タリバーンに賛同することもありますよ」と言う。あるいはタリバンに対し、 「犠牲を最小限にして、効果のある攻撃ができるか」と発言する。

なんと明確な、そして現実を見据えた論点であろうか。私はこの「主張」を昨年3月のタリバンによるバーミヤンの仏像破壊から始めた。しかし、その着眼点のなんと甘く現実を知らないことかと恥じ入る思いである。冗談を抜きにして言うが、アフガニスンタンという名前は、映画ランボーでしか馴染みではなかったのだ。そこにものすごい貧困と不幸が集中していることを私は当時は(そして今も)しらなかった。

彼女のような日本人が、今の国際政治において重要であることは認めるものの、その活動の場は現在の政府では、器として小さすぎるのではないかと危惧しないではいられない。

緒方貞子さんの上智大学で講演録がネット上に公開されている。ものすごい膨大なるテキストであるが、ひとつひとつが示唆にとみ、彼女の業績のすごさが明らかになっている。URLは以下、本当に長いので時間があるときにゆっくりと読むと良いかもしれない。

●緒方貞子 前国連難民高等弁務官(本学名誉教授) 講演会 講演録  2001年4月26日


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