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2021年7月13日火曜日

セバスティアン・クナウアーの「The Mozart/Nyman Consert」は、なかなか良い企画

セバスティアン・クナウアーSebastian Knauer(1971-)による、モーツァルトとマイケル・ナイマンMichael Nyman(1944-)の曲を交互に聴かせるコンセプトアルバム。マイケル・ナイマンはイギリスのミニマル・ミュージックの作曲家とのこと。

https://music.apple.com/jp/album/the-mozart-nyman-concert/1561282517

  1. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16番ハ長調 K.545~第1楽章
  2. ナイマン:クナウアーのための6つの小品~K1
  3. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330~第2楽章
  4. ナイマン:クナウアーのための6つの小品~K2
  5. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第12番ヘ長調 K.332~第3楽章
  6. ナイマン:クナウアーのための6つの小品~K3
  7. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番イ短調 K.310~第1楽章
  8. ナイマン:クナウアーのための6つの小品~K4
  9. モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.475
  10. ナイマン:クナウアーのための6つの小品~K5
  11. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第9番ニ長調 K.311~第3楽章
  12. ナイマン:クナウアーのための6つの小品~K6
  13. モーツァルト:きらきら星変奏曲(ボーナストラック)

輸入元の解説を貼り付けておきます。

このアルバムはクナウアーの50歳という節目となるアルバムとし、作曲家マイケル・ナイマンがクナウアーのために作曲した6つ小品と、モーツァルトのピアノ作品とプログラミングされたものです。

 ナイマンの作品は、反復的なミニマル・ミュージックの特質を残しながらも、モーツァルトの作品をより複雑な音楽構造を持たせながらも聴きやすく、心地よさを感じさせる不思議な感覚をもったもの。この組み合わせによって、モーツァルトとナイマンのジャンルという枠にとらわれず、斬新な感覚で楽器の音色の新しい響きを見出すことに成功しています。(輸入元情報)

Gramophoneに、このアルバムが作成されたいきさつが、クナウアーによる文章で掲載されています。この企画はクナウアーが長い間温めていた企画であり、企画に賛同したナイマンがクナウアーのために6つの小品を作曲したとのこと。それまで、ふたりに面識はなかったそうです。

We didn't know each other personally until then and, due to the pandemic, we could only get to know each other virtually at first. 

モーツァルトの聴きなれたピアノ曲だけを聴いていると「ああ、またか」感が否めないですが、そのピアノ曲の取り出されたある楽章にナイマンの曲が挿入されて聴かされますと、そのつながりの意外性から、聴きなれた曲も新鮮に聴こえてきます。逆にそういう効果を狙った構成ということなんでしょうか、モーツァルトとナイマンの曲がシームレスに違和感なくつながっています。

This link between antiquity and modernity results in a fluid listening experience and makes for a thrilling and innovative concert programme.

ナイマンの曲がモーツァルト的とか、直接的にモーツァルトの何かを引用しているというようには、数回聴いただけでは分かりませんでした。むしろナイマンのミニマル音楽的な響きから、モーツァルトが逆照射されて、古典作品でありながらも、革新性とか現代性に気付かされました、特に幻想曲ハ短調などにそういうことを強く感じました。

Gradually I got the first drafts, and it was fascinating to see how individual motifs or rhythms from Mozart's sonatas were being artfully processed.

上のようにナイマン自身が語っているように、注意深く聞くとナイマンの音楽の中にモーツァルト的なモチーフが聴きとれるのでしょう。ナイマンの曲だけを取り出して6曲続けて聴いてみますと、これはこれでカッコいい曲で、いろいろと変化に飛んでいて楽しめます。

ミニマル音楽とバロックを並べて聴かせるような企画は、たとえば、エスファハニなどのアルバムなど他にもありますが、現代の作曲家が演奏家の意図を受けて作曲した作品との企画という点では、ほかの企画アルバムとは一味違った出来になっています。

(参考)

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