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2021年6月16日水曜日

リーズ・ドゥ・ラ・サールのバッハにちなんだ作品たち

2017年に発売された、リーズ・ドゥ・ラ・サールの「BACH UNLIMITED」と題するアルバムを聴いてみました。J.S.バッハの作品とバッハに影響を受けた現代の作曲家の作品を並べた構成になっています。

https://music.apple.com/jp/album/bach-unlimited/1292604222


  1. J.S.バッハ:イタリア協奏曲 BWV.971 (1735)
  2. エンコ:イタリア協奏曲に基づく夜の歌 (2017) - chant nocturne, based on italian concerto
  3. プーランク:バッハの名による即興ワルツ ホ短調 (1932)
  4. エンコ:『sur la route(径で)』 (2017) - b-a-c-hのテーマに基づく、1台4手のための
  5. J.S.バッハ/ブゾーニ編:シャコンヌ ニ短調 BWV.1004 (1717-23 / 1893)
  6. エンコ:『la question de l'ange』 (2017) - シャコンヌに基づく
  7. ルーセル:前奏曲とフーガ op.46 (1932)
  8. リスト:B-A-C-H の主題に基づく幻想曲とフーガ (1855/1871)
  9. エンコ:『l'aube nous verra(夜明けが私たちを見るだろう)』 (2017) - ゴルトベルク変奏曲に基づく

並べられた作曲家は、トーマス・エンコ(1988- フランス)、フランシス・プーランク(1899-1963 フランス)、アルベール・ルーセル(1969-1937  フランス)と、フランス人作曲家が選ばれています。

特に、トーマス・エンコ(Thomas Encho )は「世界が注目するフランス屈指の若き天才ピアニスト」「世界が注目するフランス・ジャズ界の若き貴公子」などと称されています(こちらなど)。このアルバムにおいては、エンコの名前を知ったことが大きな収穫のひとつでしょうか。

下にコピペしてある輸入元情報にあるように、ラ・サールは

バッハ作品と他の作曲家の作品との間に、聴いている人が一息つけるようにしたかった

とのことです。

ためしに、エンコの4曲だけを抜き出して聴いてみたりしましたが、独特の馥郁たる香り(なんて古い言い回し!)が漂っています。「sur la route」はラ・サールとエンコの連弾だそうです。

確かにブゾーニ編曲の長大にして過剰なシャコンヌの後に何を聴きたくなるのだろうかと考えた時に、エンコのシャコンヌに基づく小品を聴くというのは、ありだなと思った次第。さらに次の曲を聴こうという具合に気分も替えることができます。

トーマス・エンコには「Bach Mirror」というバッハをベースとしたアルバムもあり、こちらも聴いてみなくてはならないという気になりました。

エンコについてばかり書いてしまいましたが、かように、本バルバムはバッハに対する敬意とバッハ音楽の偉大さを感じることができる構成になっています。

肝心のラ・サールのバッハ演奏に関しては、最初はちょっと軽めかなとか思ったのですけれど、繰り返し聴いていますと。非常に怜悧な演奏であり、特にイタリア協奏曲の第3楽章のスピード感とか快速なところもあって、これはこれで現代的なバッハなのだろうかと思っている次第です。

以下のサイトに紹介といくつかの動画があります。

もう少し繰り返して聴いてみようと思います。

企画もののアルバム、バッハに他の作曲家を組み合わせるというアイデアは、他にもありますが、このアルバムも一聴の価値ありだとお勧めします。

輸入元情報

リーズ、さらなる深みへ
バッハへの敬意に満ちたプログラム
仏ジャズ・ピアニスト、トーマス・エンコとのデュオも!

リーズ・ドゥ・ラ・サール、ソロ最新盤の登場! ファビオ・ルイージとのラフマニノフのピアノ協奏曲共演でも高く評価されていたリーズ、近年ますますその音楽性に磨きがかかっています。ラフマニノフとラヴェルのアルバム(廃盤)でnaiveから鮮烈デビューしてはや15年を記念してのリリースです。

かねてよりバッハをメインにした1枚を、と考えていたリーズ。ただ、1枚をすべてバッハの作品でそろえるのではなく、バッハの死後、バッハの影響を受けた作品でプログラムを構成しようと考えました。バッハの死後100年あまりした時にリストが書いたバッハの名を冠する作品、ブゾーニのシャコンヌ編曲が選ばれました。そしてルーセルとプーランクの作品は、当時の音楽雑誌『ラ・ルヴュ・ミュジカル』の1932年12月号「バッハへのオマージュ」と題した特集号のために雑誌が5人の作曲家(プーランク、ルーセル、カゼッラ、マリピエロ、オネゲル)に依頼した時のもの。

注目なのが、フランスの人気ジャズ・ピアニスト、トーマス・エンコ[1988-]の作品も収録していること。バッハ作品と他の作曲家の作品との間に、聴いている人が一息つけるようにしたかったというリーズは、自身ファンであるトーマス・エンコに新作を依頼。トーマス・エンコはジャズの世界で活躍していますが、クラシックの素養もある才能あふれる若手。トーマスは快くこの依頼を引き受け、すぐにリーズが思い描いていたような作品を4つ届けてくれました。そのうち2作はイタリア協奏曲の第2楽章、そしてシャコンヌをベースにした作品ですが、凝った和声づけで楽しい仕上がり。4手の作品ではリーズと連弾をしています。リーズのセンスと音楽を存分に堪能できる1枚です。(輸入元情報)


相変わらずに手厳しく的確でかつ笑えるGramophoneのレビュウ。 

The concept behind Lise de la Salle’s ‘Bach Unlimited’ is to interweave music either written by or inspired by JS Bach. In turn, composer Thomas Enhco provides short pieces that comment upon and link the major works. Bach’s Italian Concerto makes for an extrovert curtain-raiser by way of de la Salle’s frisky outer movements but she doesn’t equal Angela Hewitt (Hyperion, 3/01) or Murray Perahia (Sony Classical, 12/03) for refined contrapuntal acumen. Enhco’s Chant nocturne purportedly relates to the Italian Concerto’s slow movement; it’s actually closer to being the love child of Schubert’s ‘Gretchen am Spinnrade’ and Keith Jarrett’s Köln Concert.

De la Salle’s hard-hitting interpretation of Poulenc’s Valse-improvisation misses the music’s lithe and debonnaire point. The ‘groove’ set up at the outset of Enhco’s four-hand piece based on the letters of Bach’s name fails to sustain as the texture grows heavier with notes. By contrast, the Bach Busoni Chaconne scintillates from start to finish, and is closer to Kissin’s instinctive bravura (RCA, 12/98) than Hélène Grimaud’s more structured, intimately scaled reading (DG, 2/09). Encho’s La question de l’ange starts out as a two-part invention before reaching out all over the keyboard.


Roussel’s Op 46 features a Prelude that’s essentially Poulenc minus humour, followed by a fugue where the last note of the B A C H motif is displaced up an octave, to caustic effect. De la Salle revels in the Liszt B A C H Fantasia and Fugue’s full-bodied keyboard deployment and galvanic rhetoric, although Marc-André Hamelin’s extraordinary transparency and lightness remain the reference point (Hyperion, 5/11). The sparse serenity of Enhcos’s L’aube nous verra enables listeners to decompress and prepare for a soft landing to a fascinating, albeit uneven programme.


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